CHINONシノンから始まる物語/Shinonと彼女の決断

皆様、ごきげんよう。
Chinonという赤ワインをご存じですか?
深い赤紫色が魅力的なワインです🍷

シノン(Chinon)は、フランス・ロワール地方のアペラシオンであり、主にカベルネ・フラン(Cabernet Franc)を使用した赤ワインで知られています。
シノンには、果実味豊かで若飲み向けのものから、長期熟成可能な力強いものまで幅広い
スタイルが存在します。

1. シノンのテロワール

シノンのワインの多様性は、そのユニークなテロワールに由来します。
シノンの土壌は大きく分けて以下の3種類に分類され、それぞれの特徴がワインのスタイルに
影響を与えます。

  • 砂利質・砂質土壌:軽やかでフルーティーなスタイルのワインを生む。
  • 粘土石灰質土壌:より構造があり、熟成向きのワインを生む。
  • トゥファ(Tuffeau)石灰岩土壌:ミネラル感と複雑味を備えた長期熟成型のワインを
    生む。

シノンのワインスタイル

シノンのワインは、土壌や醸造方法によって異なるスタイルを持ちます。

  • フレッシュでフルーティーなタイプ(早飲み向け)
    • 鮮やかなルビー色で、赤系果実のアロマが特徴。
    • ソフトなタンニンと爽やかな酸があり、軽快な飲み口。
  • 構造的で熟成向きのタイプ(中~長期熟成型)
    • 深みのある色調で、ブラックベリーやスパイス、土っぽさを感じる複雑なアロマ。
    • しっかりとしたタンニンと酸があり、時間とともに丸みを帯びる。
  • 特異な白・ロゼワイン
    • シノンでは主に赤ワインが造られますが、ごく少量の白ワイン(シュナン・ブラン)や
      ロゼワインも生産される。
    • フレッシュでフルーティーなスタイルが多い。

シノンのペアリング

シノンの持つ酸とタンニンのバランスは、幅広い料理と相性が良いです。

  • 軽めのシノン:シャルキュトリー、ローストチキン、トマトソース系の料理
  • しっかりしたシノン:ラム肉のグリル、鴨のコンフィ、熟成チーズ
    (カマンベール、エポワスなど)
  • ロゼシノン:サーモンのタルタル、アジアンフード

まとめ

シノンはカベルネ・フランの個性を存分に表現した多彩なスタイルのワインが揃うアペラシオン
です。土壌や生産者ごとの違いを知ることで、より深く楽しむことができるでしょう。
熟成のポテンシャルも高く、適切なヴィンテージの選択とセラーリングを行うことで、
数年後の変化も楽しめます。

ワイン上級者なら、単に飲むだけでなく、テロワールやヴィンテージ、熟成の違いを
意識しながらシノンの奥深さを探求してみてはいかがでしょうか?

One Point! カベルネ・フランなんて聞いたことない(‘_’)と言う人

Cabernet Franc(カベルネ・フラン)は、フランス原産の黒ブドウ品種で、
ボルドーやロワール地方を中心に栽培されています。カベルネ・ソーヴィニヨンの親品種の
ひとつであり、ブレンド用としても単一品種ワインとしても高く評価されています。

原産地はフランスのようですが、イタリアやその他の地方でも栽培されています。

味わいの特徴

カベルネ・フランは、カベルネ・ソーヴィニヨンよりもタンニンが穏やかで、
口当たりが柔らかいのが特徴です。ワインのスタイルにより以下のような風味が感じられます。

香り:赤系果実(ラズベリー、チェリー)、黒系果実(ブラックベリー、プラム)、
ピーマン、ハーブ、スミレ、スパイス(黒コショウ、クローブ)
味わい:酸味がしっかりしており、ミディアムボディからフルボディまで幅広いスタイルが存在
余韻:スパイスやハーブのニュアンスが長く続く

フランスにおける産地とそのスタイル

ボルドー地方

  • カベルネ・フランは、メルローやカベルネ・ソーヴィニヨンとブレンドされることが多く、
    特に右岸(サンテミリオン、ポムロール)では重要な役割を果たしています。
  • サンテミリオンでは、シャトー・シュヴァル・ブランがカベルネ・フラン主体の代表的な
    ワインとして知られています。

ロワール地方

ボルドーよりも冷涼な気候のため、よりフレッシュで酸の高いスタイルになることが多い。      
シノン(Chinon)、ブルグイユ(Bourgueil)、ソミュール(Saumur)などでは、
単一品種ワインとして造られることが多い。

カベルネ・ソーヴィニヨンほど重厚ではなく、メルローほど果実味が強すぎないため、
バランスが良く、食事にも合わせやすいです。ワイン初心者にも飲みやすいワインと
いえるでしょう。


🍷シノンと彼女の決断

エマはパリの大学で美術史を学ぶ22歳の学生だった。週末のたびに小さなカフェや美術館を
巡るのが好きで、特に静かな場所で読書をする時間を大切にしていた。

そんな彼女がひとりで訪れたのは、ロワール地方のシノン。
歴史ある町並みと、中世の城が見下ろす美しい風景に惹かれ、夏の終わりの休暇を利用して
ここに来たのだった。

ある夕暮れ、エマは町の小さなワインバーに入った。カウンターの向こうには、白髪混じりの
優しげな店主が立っている。

「何かおすすめはありますか?」

エマがそう尋ねると、店主は静かに微笑んで、一本のボトルを手に取った。

「シノンの赤ワインを試してみてはどうですか?カベルネ・フランで作られたこの土地ならではの
味です。繊細だけれど、芯のある味わいですよ。」

エマは興味を引かれ、グラスに注がれたルビー色のワインをゆっくりと口に含んだ。
ベリーのような果実味と、ほのかなスパイスの香りが広がる。
柔らかくも、どこか意志を感じる味わいだった。

「素敵なワインですね。」

「そうでしょう。シノンのワインは、表面的には優しくても、奥にしっかりとした個性がある。
それはまるで——」

店主はエマをじっと見つめた。

「あなたのような、まだ自分の道を探している若い人と似ているかもしれませんね。」

エマは少し驚いたが、その言葉が胸に響いた。彼女は今、進路に迷っていた。
大学を卒業したらどうするのか。芸術の道を究めるのか、それともより安定した仕事を探すのか。

ワインの余韻を感じながら、エマはそっと微笑んだ。

「私、まだ何が正しいかわからないけれど……このワインのように、自分の芯を大事にして
生きていきたいです。」

店主は満足そうにうなずいた。

「きっと、あなたは素敵な道を見つけますよ。」

その夜、エマはシノンの城を見上げながら、心の奥に小さな決意を灯した。
シノンのワインのように、静かでも力強く、自分の道を歩んでいこうと。


★下に貼ってあるシャルル・ジョゲのシノンはお薦めです。


CONDRIEU コンドリューから始まる物語/ローヌのマダム

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