CHABLIS シャブリから始まる物語/シャブリしか飲まない彼女

皆様、ごきげんよう。
Chablis ワインを飲まれる方でしたら一度は口にしたことがあると思います。

ブルゴーニュの辛口白ワインの定番で、私も大好きな銘柄です。
今回はそのシャブリについて詳しく解説いたします。

シャブリ:その歴史と背景を紐解く

シャブリとは?

シャブリ(Chablis)は、フランス・ブルゴーニュ地方の最北端に位置するワイン産地で、
世界的に有名な白ワインを生み出しています。シャルドネ100%で造られるこのワインは、
独特のテロワールを反映したミネラル感と酸の美しさが特徴です。
 *テロワール:ここでいうテロワールとは葡萄畑を取り巻く風土・気候・環境などを
        総合した自然環境要因のこと。

シャブリの歴史と発展

シャブリのワイン造りの歴史はローマ時代に遡りますが、現在の基盤を築いたのは中世の
シトー派修道士たちです。彼らはこの地のフランスワインのポテンシャルを見抜き、
ブドウ栽培とワイン造りの技術を発展させました。
18世紀から19世紀にかけてはロンドン市場で人気を博し、名声を確立しましたが、
20世紀初頭のフィロキセラ禍や戦争により一時衰退。しかし、1950年代以降の再興により、
現在では世界中のワイン愛好家に親しまれています。
 *フィロキセラ:葡萄の樹を枯らしてしまう害虫。

シャブリのテロワール

シャブリの最大の特徴は、1億5000万年前のジュラ紀の海の堆積物からなる「キメリジャン土壌」
です。この土壌には大量の化石が含まれており、ワインに独特のミネラル感をもたらします。
冷涼な気候も影響し、酸の引き締まったエレガントなスタイルのブルゴーニュワインが生まれます。


シャブリの分類と特徴

シャブリの畑の格付け

シャブリのAOC(原産地呼称)は、以下の4つの階層に分かれています。

  1. プティ・シャブリ(Petit Chablis) – フルーティで軽快なスタイル。シャブリの中では
    最もカジュアルなスタイルのワインで、標高の高い丘の上など比較的粘土質の土壌で造ら
    れることが多いです。
    フレッシュでフルーティーな味わいが特徴で、軽やかなワインを求める人に向いています。
    アルコール度数もやや低め。
  2. シャブリ(Chablis) – ミネラル感と酸のバランスが良い。一般的に「シャブリ」として
    知られるワインで、ブルゴーニュ地方のAOCの中でも特に優れた品質を持つ村名ワインです。
    ミネラル豊かで、爽やかな酸味が特徴。若いうちに楽しめるものが多いですが、
    一部の生産者は熟成に耐えるワインも生産しています。
  3. シャブリ・プルミエ・クリュ(Chablis Premier Cru) – より複雑な味わいと長期熟成能力
    を備えている。グラン・クリュに次ぐ高品質な畑で、約40のクリマがあります。
  4. シャブリ・グラン・クリュ(Chablis Grand Cru)シャブリの最高峰に位置する格付けで、
    セーヌ川の支流であるスラン川の右岸の丘陵に位置する7つのクリマ(区画)から構成されます。これらの畑は南西向きで日照条件が良く、長期熟成に耐える力強いワインを生み出します。

    グラン・クリュ7区画
       ブランショ(Blanchot)   
       ブーグロ(Bougros)  
       レ・クロ(Les Clos) – シャブリ最大かつ最も偉大なグラン・クリュ       
       グルヌイユ(Grenouilles)       
       プルーズ(Preuses)       
       ヴァルミュール(Valmur)   
       ヴォーデジール(Vaudésir)

★この中でもレ・クロは特に評価が高く、しっかりとしたミネラルと熟成による複雑さを持つ
ワインが造られます。


シャブリ有名な醸造家

シャブリはブルゴーニュ地方の中でも独特の格付け体系を持ち、土壌や気候が生み出す
繊細な違いがワインの品質に大きな影響を与えます。
世界的に評価されている有名な生産者や銘柄についてご紹介。

ドメーヌ・フランソワ・ラヴノー(Domaine François Raveneau)

シャブリのカルト的人気を誇る生産者で、特にプルミエ・クリュのモンテ・ド・トネール
ブトーはグラン・クリュに匹敵する品質を誇ります。伝統的な醸造方法と徹底した品質管理に
より、長期熟成にも耐える極上のシャブリを生み出しています。

 ドメーヌ・ヴァンサン・ドーヴィサ(Domaine Vincent Dauvissat)

ラヴノーと並び称される名門で、グラン・クリュのレ・クロやプルミエ・クリュのフォレ
ヴァイヨンなどを手がけています。ステンレスとオーク樽のバランスの取れた醸造スタイルが
特徴で、シャブリのテロワールを最大限に表現しています。

 ウィリアム・フェーヴル(William Fèvre)

シャブリ最大級の名門ドメーヌで、広大な畑を所有しつつ、高品質なワインを生産しています。
レ・クロヴォーデジールなどのグラン・クリュは特に評価が高く、シャブリらしいシャープな
酸味とミネラル感を持つワインが特徴です。

 ルイ・ミッシェル & フィス(Domaine Louis Michel & Fils)

オーク樽を使用しない純粋なシャブリ造りにこだわる生産者で、フレッシュな果実味と
ミネラル感を生かしたスタイルが特徴。
グラン・クリュグルヌイユやプルミエ・クリュモンテ・ド・トネールが特に人気です。

ジャン・ポール & ブノワ・ドロワン(Jean-Paul & Benoît Droin)

400年以上の歴史を持つシャブリの名門ドメーヌで、バランスの取れたオーク樽の使用により、
複雑味と豊かな果実味を持つシャブリを造っています。グラン・クリュのヴァルミュール
レ・クロは世界的にも高い評価を得ています。


まとめ

シャブリは、長い歴史と独自のテロワールを背景に、世界中のワイン愛好家を魅了し続けて
います。
純粋なシャルドネの魅力を最大限に引き出したその味わいは、まさにブルゴーニュの白ワインの
真髄と言えるでしょう。
一口にシャブリと言っても作り手のスタイルは実に様々です。お気に入りの1本を探してみては
いかがでしょうか?

★シャブリも随分お高くなりました・・・。
  下にご紹介したドメーヌはスタンダードクラスながら十分納得のいくものです。

  

🍷この記事で紹介しておりますワインはいずれも私がこれまで実際に取り扱ったもの、
あるいは仕事から離れプライベートでテイスティングノートにコメントを残している
ものです。(ヴィンテージの違いはありますが)

嗜好品であるワインを人様にお薦めするのは難しいですが、自分の好みに偏らず
フラットな視点からワインを評価したもので、ワインの選び方が解らない・・・
という方にご提案させていただくものでございます。


🥂 シャブリしか飲まない彼女

  彼女は、ワインリストを開くと迷わず言う。
    「シャブリをお願いします。」
  赤ワインには目もくれず、ロゼにも惹かれない。泡が弾けるシャンパーニュですら、
  彼女の心を動かさない。彼女にとってワインとは、ただ一つ——透き通るような黄金色の
  シャルドネだけなのだ。

シャブリに恋した理由

  彼女が初めてフランスワインに魅了されたのは、旅先のパリでのディナーだった。
  カリッと焼かれたオマール海老の横に、ソムリエが勧めたのはキメリジャン土壌の
  恩恵を受けた、冷涼なブルゴーニュの白。
  口に含んだ瞬間、レモンピールのような爽やかさと、ほんのりとした塩気。
  まるでフランスの海風が吹き抜けるような感覚に、彼女は心を奪われた。

  それ以来、彼女はずっとシャブリを選び続ける。
  ワインショップでも、カフェのテラスでも、友人たちとの食事でも。

  「たまには違う白ワインも試してみたら?」と誰かが言う。
  でも彼女は微笑んで、静かにグラスを傾けるだけ。

シャブリが似合う女性

  シャブリしか飲まない彼女は、決して頑固なわけではない。
  ただ、自分が好きなものを知っているだけ。余計な装飾のないこのスタイルを
  気に入っている。
  カチッと仕立てたリネンのシャツに、ナチュラルなシルバーのアクセサリー。
  そんな彼女のスタイルに、シャブリのミネラル感がしっくりと馴染む。

  時に鋭く、でもどこか柔らかい。そんな彼女の個性と、シャブリのエレガントな酸は、
  まるで鏡のように響き合っている。

シャブリと彼女の未来

  「ずっとシャブリだけ?」
  ふと、自分自身に問いかけてみる。

  少し考えて微笑み、
    「もしかしたら、いつか違うワインを飲む日が来るかもしれない。
     でも、それはシャブリが好きじゃなくなるってことじゃなくて
     ただ、私が少し変わるってこと。」

それまでは、シャブリとともに。
彼女はグラスをそっと唇に運ぶ。

CONDRIEU コンドリューから始まる物語/ローヌのマダム


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