BARBARESCOバルバレスコから始まる物語/バルバレスコと大人の隠れ家

皆様、ごきげんよう。
今回は私が大好きなイタリアの赤、バルバレスコについてです。

ネッビオーロは、イタリア・ピエモンテ州を代表する黒ブドウ品種であり、バローロや
バルバレスコといった偉大なワインを生み出します。
その名前は、イタリア語の「nebbia(霧)」に由来し、収穫期に葡萄畑を覆う霧と関係が
あるとされています。ネッビオーロは栽培が難しく、テロワールの影響を強く受ける品種
として知られています。

ネッビオーロの特徴

1. 香りと風味の複雑性

ネッビオーロは、繊細でありながら力強いアロマを持ち、典型的な香りとしてバラ、タール、
スミレ、チェリー、リコリス、トリュフなどが挙げられます。
熟成とともに、ドライフルーツやレザー、タバコといったニュアンスが加わり、極めて複雑な
風味へと進化します。

2. 高い酸と強いタンニン

この品種のワインは、高い酸度としっかりとしたタンニンを持つことが特徴です。
そのため、若いうちは渋みが強く、熟成によってタンニンがこなれ、エレガントな味わいに
変化します。

3. 熟成ポテンシャル

ネッビオーロを使用したワインは、長期熟成に向くものが多く、特にバローロやバルバレスコは
数十年の熟成にも耐えうるポテンシャルを持ちます。
ボトル内で熟成を経ることで、酸とタンニンが調和し、芳醇で滑らかな味わいになります。

主要産地とテロワールの違い

1. バローロ(Barolo)

「ワインの王」と称されるバローロは、力強くストラクチャーのあるワインとして知られています。
最低38か月(リゼルヴァは62か月)の熟成が義務付けられており、長期熟成を前提とした
スタイルです。タナロ川の影響を受けるラ・モッラやバローロ村はエレガントなスタイル、
一方でモンフォルテ・ダルバやセッラルンガ・ダルバは力強く長期熟成型のワインを生み出します。

2. バルバレスコ(Barbaresco)

バローロよりも標高が低く、気候がやや温暖なため、比較的早く熟成するスタイルのワインが
造られます。最低24か月(リゼルヴァは48か月)の熟成が義務付けられ、タンニンの滑らかさと
バランスの良い酸が特徴です。

3. ロエロ(Roero)

ロエロのネッビオーロは、砂質土壌の影響で、バローロやバルバレスコよりも柔らかく
フルーティーなスタイルに仕上がります。
熟成期間が短くても楽しめる親しみやすいネッビオーロが特徴です。

4. ヴァルテッリーナ(Valtellina)

ロンバルディア州のヴァルテッリーナでは、「キアヴェンナスカ(Chiavennasca)」の名で
ネッビオーロが栽培されています。アルプスの影響を受けた冷涼な気候のもと、繊細でミネラル感
のあるワインが生み出されます。

ネッビオーロのおすすめペアリング

ネッビオーロの高い酸と強いタンニンは、リッチでコクのある料理と相性が抜群です。

  • 肉料理:牛肉の赤ワイン煮込み、ジビエ、熟成肉
  • チーズ:パルミジャーノ・レッジャーノ、ゴルゴンゾーラ、タレッジョ
  • トリュフを使った料理:タヤリン(ピエモンテの手打ちパスタ)、リゾット

まとめ

ネッビオーロは、そのテロワールに敏感で、異なる地域ごとに個性的なワインを生み出す
奥深い品種です。特にバローロやバルバレスコは長期熟成によって真価を発揮し、
世界中のワイン愛好家を魅了し続けています。
ワイン上級者にとって、ネッビオーロを深く知ることは、イタリアワインの真髄に触れることと
言えるでしょう。

One Point! BaroloとBarbarescoの違い

バローロとバルバレスコは、どちらもイタリア・ピエモンテ州のネッビオーロを主体とした
偉大な赤ワインですが、細部にわたる違いを理解することで、より深いワインの知識と楽しみ方が
広がります。

1. 法規制と熟成期間

バローロは、イタリアDOCGの規定により最低 38ヶ月(うち樽熟成18ヶ月以上) の熟成が
義務付けられています。一方、バルバレスコは 24ヶ月(うち樽熟成9ヶ月以上) で市場に
リリースされるため、バローロより早く楽しめるワインとされています。
リゼルヴァ(特に優れた年に造られる上級キュヴェ)の場合、バローロは 62ヶ月
バルバレスコは 48ヶ月 の熟成が求められます。

2. 土壌とテロワールの違い

バローロの土壌は、エリアによって大きく2種類に分かれます。

  • トルトニアーノ(Tortoniano):ラ・モッラやバローロ村などに見られる青みがかった
    泥灰質土壌で、比較的柔らかいタンニンと華やかなアロマを持つワインを生む。
  • セッラヴァッレ(Serravallian、旧称:ヘルヴェティアン):モンフォルテ・ダルバや
    セッラルンガ・ダルバなどで見られる砂岩を多く含む堅牢な土壌。
    タンニンが強く、長期熟成に向いたストラクチャーのあるワインを生む。

一方、バルバレスコの土壌はバローロよりも海洋性堆積物が多く、一般的に 石灰質を多く含む
トルトニアーノ が主体です。そのため、バローロよりも柔らかく、早く開くスタイルのワインに
なりやすいと言われています。

3. 気候と標高の影響

バルバレスコのブドウ畑は、バローロよりも標高が低く、気候もやや温暖なため、
ネッビオーロの成熟が早く進みます。これにより、バルバレスコはバローロに比べて早飲み向きの
スタイルになりやすく、タンニンもやや穏やかです。

4. スタイルの違い

バローロは「ワインの王」とも称され、その力強いタンニンとストラクチャーにより、熟成を
重ねることで真価を発揮します。特に 15〜20年 以上の熟成ポテンシャルを持つものが多く、
熟成によってタールやトリュフ、ドライフラワーの複雑な香りを帯びていきます。

バルバレスコは「ワインの女王」(バローロの弟分)とも呼ばれ、バローロと比べると
よりエレガントで洗練された印象を持つことが多いです。果実の華やかさが際立ち、
バローロよりも 5〜15年程度 の熟成でピークを迎えるものが多いです。

5. 代表的な生産者

  • バローロ:バルトロ・マスカレッロ、ジャコモ・コンテルノ、ブルーノ・ジャコーザ、ジュゼッペ・リナルディ、ロベルト・ヴォエルツィオなど
  • バルバレスコ:ガヤ、プロドゥットーリ・デル・バルバレスコ、ブルーノ・ジャコーザ、セッラルンガ・ディ・ネーヴェなど

バローロとバルバレスコは、どちらもネッビオーロの真髄を表現する偉大なワインですが、
バローロは より骨格がしっかりしており熟成向き、バルバレスコは よりエレガントで早く
楽しめる という点が大きな違いです。土壌や熟成期間の違いが、両者の個性を生み出しており、
どちらを選ぶかは好みやシチュエーション次第。
熟成バローロの荘厳さを楽しむのもよし、バルバレスコの華やかさを堪能するのもよし。
ぜひ、両者の違いを意識しながら飲み比べてみてください。

 
 🍷 バルバレスコと大人の隠れ家

東京・銀座の片隅に、知る人ぞ知るワインバー「Rosso e Nebbia」がある。
ここは、イタリアワイン愛好家たちが密かに集う隠れ家だ。特に、ピエモンテ州の宝石とも
称されるバルバレスコを取り揃えており、その芳醇なアロマと洗練されたタンニンに魅了された
客が後を絶たない。

ある晩、ソムリエの蓮はカウンターで静かにグラスを磨いていた。そこへ、一人の男性客が
現れる。

「バルバレスコをください。」

シンプルな注文だったが、その口調には確固たる自信があった。蓮は微笑み、ピエモンテの
著名なワイナリーから仕入れた一本を選ぶ。

「こちらは2016年ヴィンテージのバルバレスコです。ネッビオーロの持つエレガントな酸と、
熟成による複雑味が楽しめますよ。」

男性はグラスを軽く回し、香りを確かめた後、ひと口含む。すると、彼の表情が一瞬柔らいだ。

「素晴らしいですね。このワインバーを見つけて正解でした。」

それから二人は、バルバレスコとピエモンテのワイン文化について語り合った。
蓮は、バルバレスコとバローロの違い、ネッビオーロの特徴、そしてこのワインに合う料理の話を
興味深く伝えた。

「バルバレスコとバローロは同じネッビオーロ種から造られますが、違いは明確です。
バルバレスコはタナロ川の影響を受け、バローロよりも標高が低く、より砂質の土壌で育ちます。
そのため、バルバレスコはより繊細でエレガントなスタイルに仕上がります。
一方で、バローロは粘土質が多く、より骨格があり、熟成による変化も大きいのが特徴です。」

「また、熟成期間の違いも重要です。バルバレスコは最低24ヶ月(うち9ヶ月は樽熟成)で
リリースできますが、バローロは最低38ヶ月(うち18ヶ月は樽熟成)が必要です。
そのため、バローロはより力強く、長期熟成向きなのです。」

「バルバレスコにはトリュフのリゾットや、熟成したパルミジャーノ・レッジャーノがよく合います。ぜひ次回は食事と合わせて楽しんでください。」

男性は満足げに微笑み、「また来ます」と告げて店を後にした。

蓮はグラスを片付けながら、バルバレスコの奥深さと、それに魅了される人々の物語に思いを
馳せるのだった。
                             Fin

 ★バルバレスコ、バローロ共に生産者は数多く、そのスタイルも実に様々です。
  その中で1本だけ選ぶとするなら価格と品質に見合ったこちらがおススメです💛

🍷この記事で紹介しておりますワインはいずれも私がこれまで実際に取り扱ったもの、
あるいは仕事から離れプライベートでテイスティングノートにコメントを残している
ものです。(ヴィンテージの違いはありますが)

嗜好品であるワインを人様にお薦めするのは難しいですが、自分の好みに偏らず
フラットな視点からワインを評価したもので、ワインの選び方が解らない・・・
という方にご提案させていただくものでございます。


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